益田家伝来
略伝
天正元年（1573）但馬出石に生る。俗名秋庭綱典、10歳にして出家す。 初め浄土宗、後、禅に入り希先・甫仲に参禅、大徳寺に入り宗彭と改む。その後堺南宗寺、大徳寺に住し高風一世に喧伝したが、いわゆる紫衣事件に連座、出羽上の山に四年間流謫された。後年、将軍家光は沢庵を敬慕し、品川東海寺の開山に迎えた。寛永十五年（1638）朝廷は沢庵に国師号を賜わったが、固辞した。晩年東海寺に春雨庵を結び、春翁・暮翁と号し、詠歌、茶事に遊び、特に茶は遠州門下たり、茶禅一味の境涯に到達し、茶法を説いた『不動智神妙録』『沢庵和尚茶器詠歌集』の著書がある。 正保二年（1645）十二月十一日寂す。73歳。
茶杓
ふっくらと豊かな茶杓である。杓幅ひろく漆を拭いてある。
筒
真筒面取 書付 沢庵宗彭筆「〆 釋迦 冥之」
付属物
内箱 桐白木 書付 怡渓宗悦和尚筆「沢庵和尚茶杓」
極礼 古筆了仲筆
追記
益田鈍翁所蔵当時は東都茶会にしばしば用いられた名杓である。
怡渓和尚は大徳寺二百五十四世、高源院開祖、石州流藤林宗源より石州流を伝え、怡渓流を始む。
所載
茶杓三百選
寸法
茶杓
長サ18.3cm
幅0.6―1.1cm
厚サ0.3cm
筒
長サ20.8cm
径2.7cm
