高取焼鶴首 たかとりやきつるくび

高取焼鶴首たかとりやきつるくび
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

高取焼茶入。
高取焼に小堀遠州の好みが行われていることは、衆知のとおりですが、高取焼が一面唐物写しに長じていることは、他の国焼の比でなく、実際に唐物に紛れているものすらいくつかみられるのです。
それは轆轤の技術の練達と、土・釉とも上質なるがゆえでもありましょう。
そしてこの両面の特徴を兼ねそなえているのが、この茶人なのです。
鶴首はいうまでもなく唐物にある形ですが、鶴首ののび具合いは唐物のそれと異なり、この辺に遠州の意匠が働いているように思われます。
この同じような例が「腰簔」(175~頁)にもみられます。
すなわち首は比較的長く、上部の開方が独特で、容姿の要点がむしろこの辺にあるような感覚を抱くのです。
釉景も見事で、明るい褐色地に黄釉が首の上部にたっぷりとかかり、一条なだれて直下し、胴のふくらみを少し越えたあたりで止まっていて、事な置形をなしています。
首下から胴の中ほどへかけて轆轤目にそって一部斑をなし、これまた景をそえています。
内箱蓋甲に遠州筆で「高取 鶴首」と書き付けられ、遠州によって好まれて愛蔵されたであろうことを実証しています。
『遠州蔵帳』に記載されています。
【付属物】蓋三 仕覆三、有楽緞子・白茶地宝尽一重蔓小牡丹金襴・笹蔓緞子(図版右より) 内箱―白木、書付小堀遠州筆
【伝来】小堀遠州
【寸法】 高さ:9.8 口径:3.3

前に戻る
Facebook
Twitter
Email