紅葉呉器茶碗

鶴田 純久
鶴田 純久

付属物
内箱 黒塗几帳面鉄仙唐草蒔絵 同蓋裏 円窓内絵松花堂筆 外箱 唐物藤組金具付
伝来
大阪天王寺屋五兵衛―鹿島屋広岡家―永坂三井家(昭和三年六月)
所載
戸田露吟著後学集 茶碗目利書 目利草 茶器目利聞書 紀国屋彦二郎著 閑窓雑記 大正名器鑑
寸法
高さ:8.5cm 口径:13.0~13.5cm 高台径:5.9cm 同高さ:1.8cm 重さ:340g

 紅葉呉器は呉器の中でもっとも貴ばれるものですが、ことにこの茶碗は、もと大阪の加島屋広岡家の伝来で、千種屋平瀬家伝来の菊月と共に紅葉呉器の双璧を以て称されています。
 紅葉呉器の生命は、そのほんのりと赤みざした色合いにありますが、この茶碗でも、総体に美しく薄赤みざしたうちに、青みの火替りもまじって、茶趣まことに深いです。外側には釉がけのときの指あとや。いわゆる掛けはずしが、巧まぬ景となって、大きな魅力を加え、見込み口辺にも火間ができています。ことに姿の秀れた点では抜群で、紅葉呉器中随一というべく、強い撥高台によらて凛然たる趣を加えています。まことに姿も景も間然するところのない名碗です。

高さ:8.3~9.8cm
口径:13.0~13.5cm
高台外径:6.0cm
同高さ:2.4cm

 もと大阪の加島屋広岡家にあった紅葉呉器で、かつて大阪で名器比べがあった時、これに及ぶものはなかったという、言い伝えのある名碗です。
 『目利草』には「大徳寺呉器大ぶりなり尼呉器大徳寺と紅葉との間をぬけ申侯やうなる手紅葉呉器右の中紅葉呉器最上の手といふ」とあり、呉器のうちでは紅葉呉器が最も尊ばれています。『大正名器鑑』には広岡家のこの紅葉呉器のほか、藤田家の残月、浅野家の紅葉呉器の二碗をあげていますが、紅葉呉器はこのほかにも何点かあります。しかし姿、作ゆき、釉調、上がりなど、この茶碗にまさるものはないというのが定評となっています。
 素地は、わずかに鉄分のある小砂まじりのざらっとした陶胎で、これに透明性のやや濁りのある釉薬が、比較的厚く内外底全面にかかっています。
 焼成は中性炎といって、還元でも酸化でもありませんが、やや酸化ぎみで、底土はほんのりと赤みをおびています。胴上半は浅葱色の地に、赤い斑紋が内外全面に散り、下半は総じて淡い赤かっ色になっています。「紅葉呉器、色赤みあるを好む」(「茶器目利聞書」)とあるように、ほのかなこの赤みを、茶人はこよなぐ愛しています。
 姿は端正な、俗にいう呉器形で、碗形の胴を、裾の張った大きな高い高台がささえています。
 縁は、わずかに端反りぎみで丸くつまみ、底裏は深くえでってあります。茶碗をわしづかみにして釉薬をかけた、指あとが四つ、胴に斜めにありありと残り、その反対側の高台にも、一群の指あとがあります。
 高台畳つきには、いくつか山割れがあり、目跡が四つあります。底裏三分の一は、半月形に釉薬がかからず素地を現わしていますし、内面も口辺に近く、長方形に釉薬のかかっていないところがあります。口辺には樋もなく、ほつれもない完好に近い茶碗で、作りは比較的に薄いです。
 内箱は、黒塗り几帳面、鉄線唐草の金銀蒔絵があり、蓋裏は、金銀梨子地で、円形内に、松花堂筆といわれる秋景山水図の墨絵があります。中箱は、桐の春慶塗り。外箱は、中国人の冠箱といわれる唐物藤組み。
 もと大阪の富豪、天王寺屋五兵衛が所持し、ついで加島屋広岡家の有となりましたが、昭和三年の加島屋の入札に、十八万九千円七いう、当時としては破格の高価を呼んで有名となりました。
(小山冨士夫)

紅葉呉器茶碗 もみじごきちゃわん

朝鮮産呉器茶碗ノー手。
釉に赤い鹿子斑が美しく出ているのでこの名があります。
大徳寺呉器より小振りで半使に類するものでありますが、質は別であります。
高台は異風にできて格好が深く、自然の箆目があります。
釉はぬめらず柿の火替わりあるいは青替わりがあるようで、総じて上作であります。
この手の本歌は初め大徳寺にあるようで、豊臣秀吉を経て徳川家康の所有となり、明治維新まで徳川宗家にありましたが、戊辰の役の際上野で焼失したとのこと。
現存するこの手の茶碗で高名なのは大阪広岡家伝来の大名物紅葉五器で、1928年(昭和三)6月同家入札で十八万九千九百円の高価を示し、これは茶碗の価格の最高記録でありました。
現在根津美術館所蔵。
(『茶器目利聞書』『茶怨鑑定記』『大正名器鑑』『高麗茶碗と瀬戸の茶入』)

全体にほんのりと赤みを帯び、青みの火変わりもまじって茶趣が深いです。
見込口辺にも火間ができて、外側には釉がけの指痕や、いわゆるかけはずしが巧まぬ景色となっています。
凛然たる撥高台が趣をそえ、端正な姿は抜群で、紅葉呉器中随一と世評に高いです。
紅葉呉器は呉器の中でも貴ばれるものですが、平瀬家伝来の「菊月」とともに紅葉呉器の双璧と称されています。
《付属物》内箱-黒塗几帳面、鉄仙唐草蒔絵、蓋裏円窓内絵松花堂昭乗筆 外箱-唐物籐組、金具付
《伝来》大阪天王寺屋五兵衛-鹿島屋広岡家-永坂三井家
《寸法》高さ8.5 口径13.0~13.5 高台径5.9 同高さ1.8 重さ340

You might also enjoy

彫三島 銘籠花

寸法高さ:7.0~7.5cm 口径:15.5cm 高台径:5.4cm 同高さ:1.3cm 重さ:364g  籠花の銘は、檜垣に菊花の意匠によったものである。外三段と内二段の檜垣は、釘彫りのような太い無造作なタッチで雅味ゆ

柿の蔕 銘龍田

名物付属物内箱 曲溜塗黒漆文字書付伝津田宗及筆所載山澄力蔵氏談 東都茶会記第四輯上 大正茶道記 大正名器鑑寸法高さ:6.9~7.1cm 口径:13.4~13.7cm 高台径:5.8cm 同高さ:1.0cm 重さ:290g

雲井井戸 青井戸

付属物内箱 桐白木 書付 白山宗一筆伝来大阪両替屋炭屋 白山彦五郎―藤田家所載ふきよせ 大正茶道記 大正名器鑑寸法高さ:6.1~6.9cm 口径:14.8~15.2cm 高台径:5.04cm 同高さ:1.2cm 重さ:2