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鶴田 純久の章 お話

朝日 銘老浪士

付属物 内箱 桐 書付 金粉字形 外箱 黒塗 書付
伝来 戸町露吟―尾州森川家
所載 大正名器鑑
寸法
高さ:8.0cm 口径:12.2ー13.0cm 高台径:5.0cm 同高さ:1.0cm 重さ:260g

 こうした傾向の茶碗が、一般茶人によって好まれるようになったことについては、考えておかなければなりません。
 この茶碗は、格調があまり高いとは思われません。ロ縁が無理にゆがめられています。そこに作為のあとが見えすぎますから、それが気になる。ただ、こういう茶碗がよろこばれたことは、すでに茶の伝統の上に、大きな屈折が起きてきていることを意味します。
 大体遠州の好みの中には、こういったものが多いですが、まともなものをまともに出さないでゆがめたところがよい、それが風流だ、といった解釈が支配的となりフつつあることを物語るもので、茶道の変質といわなければたりません。そういう時代を考えあわせて見るとき、朝日焼としての名品たる意味もわかるはずです。

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