伊羅保は大きく分けて、古伊羅保・釘彫伊羅保・黄伊羅保の三種類で、この一碗は古伊羅保の範躊に大る。
箱表には「御茶碗いらほひかハり」とあるが、「ひかハり」とは火変り、つまり窯変の意で、今日でいう片身替りのことをさす。
火変りというものの、焼成前に二種の釉薬をかけ分けたもので、作者の作陶への意識が感じられる。
織部・遠州という時代の中で、こうした手のこんだ作振りも茶人の側から要求されたのであろう。
見込にも白刷毛が一筋付けられている。
【伝来】大阪草間家-藤田家
【寸法】高さ6.8~7.3 口径13.8~14.7 高台径6.0 同高さ1.2 重さ277
【所蔵】藤田美術館