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鶴田 純久の章 お話

名物。古瀬戸肩衝茶入。
京都六条家所持、のち松平不昧に入りました。
(『茶道名物考』)

ろくじょうかたつき 六条肩衝

古瀬戸肩衝茶入。
大名物。
京都六条家に伝来したのでその名があります。
その後宗対馬守に伝わり、次に大阪富木八左衛門の所持となりましたが、明和八年、京の道具商山越利兵衛の手に入り、安永七年、同人より代金五百両で松平不昧に納めました。
当時の位金で千両といわれます。
大正六年四月、松江市における不昧公百年忌展覧会の際、松平家より旧松江城内興雲閣に出陳されました。
姿は小形の撫肩衝で口造りは丸く、捻り返しが浅く、口縁に一カ所繕いがあります。
総体に黒飴地色が唐物のごとく緻密に熔けて品がよいです。
柿の斑文がみられ、自然に裾に流れた幅広いなだれが置形となっています。
釉溜りに少し青瑠璃色があり、細い糸切の底中央に丸形の窪みがあります。
胴中に沈筋一線がめぐり、裾以下鼠色の土に轆轤目があり、その中に虫喰のごときほつれが一の字状をなしています。
佗び作で雅味多く、一種異風な趣がありますが、古瀬戸らしくゆるやかな調和を保っています。
仕覆は金襴・銀襴のみで揃えてあるのも珍しいです。
『古今名物類聚』 『名物記』 『鳳亀龍』などの名物記に記載されています。
【付属物】蓋 蓋箱 桐白木、書付松平不昧筆仕覆―四、金地古金襴・長楽寺金襴底大燈金襴・浅葱地石畳金襴・紺地花紋銀襴(図版右より) 挽家―象牙挽家仕覆—和蘭縞 内箱 桐白木、几帳面 外箱溜塗、煮黒味錠前付
【伝来】京都六条家宗対馬守 大阪富木八左衛門―山越利兵衛 松平不味
【寸法】 高さ:8.3 口径:2.9 胴径:5.8 底径:2.9 重さ:95

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