形物香合番付東方前頭七枚目。
蟹が玉を抱く姿を小判形にまとめたもので、意匠的にみてまことに賞賛に値する。総黄で、その黄釉は冴えた色をみせ、蟹の甲だけが青釉になって七宝文様を浮き出し、総体の黄色の中に青色が調和して美しい。掌中の珠のように愛らしい点が、この香合の愛玩されるところであろう。
この香合を小堀遠州時代の注文品とみる向きもあるが、番付上位に位しているところから、古くに舶載されたものと思われる。数はきわめて少なく、他に井上侯爵伝来のものが知られている。
【伝来】 藤田家
【寸法】 高さ：4.0 口径：3.9～4.5 胴径：4.9～5.8 底径：2.7～3.7 重さ：50
【所蔵】藤田美術館
