
明代。
名物裂。
この裂は小堀遠州が寛永二年(1625)南都野田郷の久保権太輔(長闇堂)と空に命じて仕覆に仕立てさせ、松屋に遣わしたもの。
松屋三名物の一つである大名物「松屋肩衝茶入」に添えられ、遠州好みの仕覆として有名となった。
地色は濃縹地に明快な黄色の緯糸で精緻な捻梅紋唐草の間に散らしている。
一般の唐草紋とは異なり、夢と花紋とは関係なく、葉形も省略され、蕨状の曲線で余白を埋めている。
正法寺緞子や定家緞子に似た紋様構成であるが、そのいずれよりも明るく、蔓に動きが感ぜられ、浮かび上がって躍動している。
おそらく万暦末期の織製になる名物裂で、遠州緞子の一つである。
【伝来】松屋
【所蔵】根津美術館



