明代。
名物裂火燈口火燈龍金襴などの呼称がある。
縹地に二重枠の菱地紋を金地で織り出し、火燈口形の中に雲龍紋をあしらった豪華な金襴であるが、金色が押えられているので派手やかさはないが、すぐれた名物裂である。
地合いの菱の紋様が乱れ織技のまずさを示し、万暦末期以後の渡来裂と思われる。
地合いは経三枚の綾織のものが多いが、ビロード地もあり、地色もさまざまで萌黄・紺・茶・浅葱などがあり、紋様も花兎紋・草花紋などがある。
茶入仕覆には使用例がごくわずかで、むしろ表具裂として珍 重さ：れている。
なお火燈口とは、茶道口などに鴨居と方立を用いないでアーチ状に塗り回した壁の出入口のこと。
【所蔵】東京国立博物館
