
明代。
名物裂。
大名物「国司茄子茶入」に添う仕覆の一つにこの裂が用いられているので、この称が生まれたと考えられる。
一般に国師間道と称しょういちえんにぺんえんし、東福寺の開山聖一国師(円爾弁円)が宋よりもち帰った袈裟裂と伝えるが、この説は国司を国師としたことによる付会であろう。
「国司茄子茶入」は伊勢の国司北畠晴具(1503~63)の所持によるものであるが、子の教具の代に信長に討伐され、信長から次男の信雄が送り込まれたが廃絶した。
茶入はのちに松花堂昭乗に移り、八幡名物の筆頭に数えられたが、こわたのぶかつの頃仕覆に添えられたのかもしれない。
白と紺の細い縦縞で、瀟洒な感じのする名物裂である。
【所蔵】 藤田美術館