伝李安忠筆。
国宝。
同じ「雑華室印」という印章を画中にもつ今一つの「鶴図」が現存し、構図・筆致などから判断して双幅として伝来したものと想定されている。
筆者とされる李安忠は、宋が金に追われて南渡し、杭州に都したときにともに南下した宮廷画家の一人。
花鳥画を得意としたようである。
本図は秋草の中に一羽の鶉がじっとたたずんでいる図柄で、色彩を没骨法で画いた草花の描法と、謹厳細密な院体画風とが見事に調和し、気品あふれた画境を示している。
日本に現存する舶載中国画中の白眉で、北宋から南宋時代にかけての、院体花鳥画の高い水準を示す優品。
【寸法】画面―縦24.2 横27.6
【所蔵】 根津美術館