伝馬麟筆。
重文。
雪の水辺に一人四つ手網を仕掛けてうずくまる漁人は、自然の中に仏法を見出さんとする求道者にもたとえられる。
この画境は、絶海中津の『蕉堅稿』中の一詩にある「ひとり寒江に釣るは何処の翁ならん、莎衣雪に堪え、また風に堪える。
魚を得てただ換う漁村の酒、いま客星の漢客を驚かすを必せず」というものである。
筆者を馬遠の子馬麟とするが、馬派の山水画とは画題を異にし、むしろ北宋風李迪派山水の特徴がうかがわれる。
本図の制作は宋末元初の形式化された馬派の画風の北宋回帰を示している。
【伝来】 黒田家
【寸法】全体 縦125.0 横65.0 画面縦31.6 横51.2
【所蔵】救世熱海美術館