伝嵯峨天皇筆。
『勝鬘経』断簡(国宝手鑑『藻塩草』)。
比叡山横川の飯室別所に伝えられたところからこの名がある。
一般に比較的大字で書写された『金光明最勝王経註釈』断簡を「飯室切」と呼んでいるから、この手鑑のものは別種のものであり、これを第一種、最勝王経を第二種としている。
註釈が細字でところどころに胡粉で書き込まれ、弘法大師の筆と伝えられているが、まず平安前期のものと考えていいだろう。
嵯峨天皇(786~842)は平安の三筆の一人として名筆の誉高く、そのために「飯室切」も天皇の書と考えられ、古筆愛好家の間で珍 重さ:れたのである。
【寸法】本紙縦28.3 横6.7
【所蔵】京都国立博物館