伝菅原道真筆。
『金光明最勝王経』巻八断簡(国宝手鑑『藻塩草』)。
天平時代の写経生によって書写された『紫紙金泥経』の末尾部分である。
『古筆名葉集』の聖廟(菅原道真)の条に「紫地金字経」とあるのに相当し、『増補古筆名葉集』に「紫帋金字最勝王経法華経等アリ、河内切又北野切、筑紫切ト都而紫切ト唱フ」と記される。
この『紫紙金泥経』は天平時代奈良の金字写経所で製作された一連のもので、『金光明最勝王経』は国家の守護安泰を祈願するために行なわれ、諸国の護国寺などに納められた。
紫紙に燦然と輝く金泥の荘重な趣は奈良朝を代表する荘厳経といえる。
【寸法】本紙―縦27.0 横13.1
【所蔵】京都国立博物館