伝藤原行成筆。『十番歌合』断簡。『十番歌合』の清書本で、承暦二年(1078) 讃岐守顕季家歌合と呼ばれ、顕季(1055~1123)が古歌を利用して歌合形式としたといわれる。料紙は白の鉄線唐草の唐紙(和製)を使用している。近年まで三井松籟が所持していたが、第二次大戦後分割に際し、旧蔵者の名に因み命名された。書風は行成の孫藤原伊房(1030~196) 真筆とされる『藍紙本万葉集』「尼子切」などの系統をひくもので、十二世紀初頭の書写と想定されている。しかし伊房の男性的な枯れた筆致はみられず、むしろ柔軟で優美な運筆に時代の下降を感じる書風であ【伝来】三井松籟【寸法】本紙縦25.6 横38.5