伝小野道風筆。
『古今集』巻十一(抄出本)断簡。
元来粘葉装の冊子本であり、上質の鳥の子の染紙を用い、贅沢な内面書写方式をとっている。
色の異なる部分に散らし書した場合、継ぎ合わせた色紙となるところから左右同一紙に書かれた場合も 「継色紙」と称する。
『古今集』などから抄出し現存最古の書写になる歌集で、その書風は十世紀後半の古様を示し、俯法をまじえた用筆法や仮名文字が草体で書かれ、いまだ原漢字の姿をとどめている。
また散らし書にみる空間構成のおおらかで的確な表現は絶妙といえる。
静寂で枯淡な風格は「高野切」などとは違った自由無碍な孤高の老境を示すものである。
【寸法】本紙―縦13.2 横26.5