伝藤原為家筆。
三十六歌仙絵断簡。
為家(1198~1275)筆と伝える草稿風の白描歌仙絵である。
もとは巻子本形式であったものを分断して、現在は一歌仙ずつの表装を施している。
断簡は諸本によりかなりの相違はあるが、面貌の描写に特色がみられ、似絵風の軽快な筆致をみることができる。
この一連の歌仙は十四葉の遺存が確認され、鎌倉末期のものといわれている。
上旬と下旬との間に多少の行間をあけ、四行ないし五行の散らし書としているが、全体の趣は清雅で、衣服の描写に素朴な強さを感じさせる。
白描歌仙中の特異な遺品といえる。
【寸法】本紙―縦28.0 横45.0
【所蔵】畠山記念館