伝聖徳太子筆。
『妙法蓮華経』巻四断簡(国宝手鑑 『翰墨城』)。
薄墨色の楮きら紙に一行八字の写経で、宝塔を雲母摺りにした中に経文が一字ずつ納められている。
信州戸隠の神宮寺に伝えられたので「戸隠切」と称され、現在は『法華経』巻一(二巻)巻二巻四の四巻が戸隠神社に収蔵されている。
筆者を聖徳太子と伝えるが、実際には平安朝後期と考えられ、藤原定信の書風に似た筆癖がみられ、筆法・装飾 料紙から判断してまずその頃と思われる。
国宝手鑑『藻塩草』の断簡も同巻四の一部であり、江戸初期までに散逸したのであろう。
なお紫紙の類似写経は「戸隠類切」と称して区別している。
【寸法】本紙―縦27.8 横5.6
【所蔵】救世熱海美術館