伝藤原行成筆。
『和漢朗詠集』下巻断簡。
『和漢朗詠集』下巻のみが遺存し、断簡も数が少ない。
料紙は天地の長い薄い藍紙に羅文の飛雲が散らされ、全面に細かい雲母が撒かれている。
飛雲の技法は他に類例をみず、一段と大きくこの切の特徴とされている。
書風は寛弘であるが、「伊予切」より多少改まった趣があり、漢詩は堂々とした書きっぷりである。
仮名もまた若々しいのびやかな明るさに満ちている。
「高野切」第三種・「伊予切」第一種・『御物粘葉本和漢朗詠集』と同筆と考えられ、筆者を藤原公経、伝来を京都法輪寺と推測する説もある。
【寸法】全体―縦145.0 横41.9 本紙 縦27.5 横18.5