伝藤原行成筆。『深養父集』断簡。「継色紙」「寸松庵色紙」と並んで平安の三色紙と呼ばれ古来珍 重さ:れてきた。鳥の子の白紙の料紙で、もと糸綴の冊子本であったと思われ、『深養父集』(『貫之集』『千里集』をも含む) 四十余首の遺存が知られる。多少縦長であるが桝形に近いところから命名され、その優雅婉麗の書風は平安朝古筆切中の代表的作例。墨つぎによる濃淡と肥瘦の変化は見事な諧調をなし、散らし書にみる書き始めと書き終わりの緊張関係が、おおらかな無限の空間を構成し、その絶妙な形式は「継色紙」の「山桜」 歌の散らし書にも匹敵する。校点は定家筆と伝える。【伝来】古筆家【寸法】縦13.8 横11.07