南浦紹明 法語 なんぽじょうみょう ほうご

南浦紹明 法語
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鶴田 純久の章 お話

南浦紹明が、会下の是本禅尼の請いに応じて書き与えた法語。
初心の修行者に対する訓辞としてまことに行き届いたものである。
「仏祖不伝の妙」とは、諸仏諸祖といえども他に伝えようも説きようもないという禅道仏法の極意 「人天性命の道」とは、人間のみ行なうべき大道。
「塵却来の事」とは、天地開闢以前から脈々と生き続けている宇宙の大生命のこと。
この現われが「人天性命の道」であり、これを把得するのが「仏祖不伝の「妙道」 すちわち禅の悟りである。
「宿根霊利底の漢」とは、生まれつき明鋭利な人物。
「一念未だ・・・・・・彰れざる以前」とは、父母未生以前、いっさいの相対的なものがまだ現われない以前。
「直下に看取す」とは、仏性を思慮分別を借りずに端的にずかりと徹見すること。
「任麼の田地」とは、目前の娑婆世界がそのままで寂光浄土であり、仏国土であると眺められる心境、悟りの世界のこと。
南浦紹明は駿河国安部郡の出で、幼少で出家し教宗を学んだが飽き足らず、建長寺の蘭溪道隆に参じ、次いで入宋し諸方遍参後、虚堂智愚に参じ、随って径山に移り、ついに大徹大悟してその法を嗣いで帰朝、旧師蘭溪の建長寺で知蔵(蔵主)の役につき、筑前の興徳寺に出世、大宰府の崇福寺に移り、いること三十年道誉大いに揚がり、上洛し万寿寺の住持、嘉元寺の開山に招ぜられ、北条貞時に請ぜられて建長寺の住持、延慶元年(1308) 74歳で示寂、円通大応国師と諡された。
【寸法】本紙―縦30.4 横91.3
【所蔵】大徳寺真珠庵

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