鉄風炉の甑や肩の一部を欠失した佗び趣味のものを、窶風炉・破れ風炉などと呼んで名残の茶事に好んで用いたりすることがある。
寺院などの鉄製香炉の上部を欠いたり、割れを鎹で継いだりしたものもあり、故意に欠いて佗びた麺をつくったものが多い。
この風炉は、獅子噛鐶付に常鐶が付けられ、甑は向うのごく一部を残して欠き落としてある。
なお甑の透かし文は唐草文で、火口は香狭間と木瓜になっている。
作者は名越家十三代の浄味(三昌・古浄味)で、名手の誉れが高く、遠州・光悦の好み釜をつくったが、国家安康の銘で有名な京都方広寺の大鐘鋳造の際に鋳物師棟梁として従事したことが知られる。