伊賀耳付花入。重文。桃山時代の作。大正初期に伊賀「五人男」の一つに選出されたもので、当時の所蔵者である横浜の巨商小倉常吉の名をとって銘としたものです。
正面が屏風を立てたような凹凸をなす珍しい形で、右半面は灰を被った青釉の下に焦げが灰緑褐色を呈し、左半面には赤い胎土に萌黄色のビードロ釉が斜めに飛び散り、まことに複雑をきわめますが、いかにも見事な景色を現出しています。
口造りと竪箆の具合いの調和のよさ、焦げ・ビードロ釉・照りの効果の見事さなど、伊賀花入中の最高峰といえましょう。《寸法》高さ27.2~28.3 口径9.7~10.6 胴径12.0~13.3 左右こ1.4 底径12.0~12.2 重さ2110