胎土中に含まれた小石が、焼成中に弾け出てきたもので、その思いがけない景色が、茶人の好尚に適って賞玩されました。
偶然の所産ですが、後代には意識して小石をはめ込んだものもあるようです。これに限らず茶器としてとり上げられるものは、ゆがんだもの、窯中で欠け落ちたり、ひびの入ったもの、指痕・手痕のあるものなどが、むしろ景色として喜ばれていますが、この不完全さを見所として楽しむ鑑賞眼は、日本人独特の美意識です。石はぜはどこの陶器にもみられる現象ですが、唐津の石はぜは特に名高く、幕末・明治頃には唐津茶碗の中でも特に珍重されました。
《寸法》高さ7.1 口径11.0~11.2《所蔵》滴翠美術館