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鶴田 純久の章 お話

漢作唐物茄子茶入。
大名物。
十四屋宗悟が所持したのでその名があります。
宗悟は宗伍とも伝えられ、戦国時代の京都の茶匠で、古岳宗亘に参禅し、宗陳とともに紹鷗の茶の師とされています。
名品多数を所持し、この茄子茶入のほか「牧谿柘榴」「伊吹香炉」などを所持しました。
茶入はその後織田三五郎可休に伝わり、さらに徳川幕府に献上されましたが、元禄七年(1694)将軍綱吉から土屋相模守政直が拝領し、以後代々同家に伝蔵されました。
近年五島家に入る。
総体に大振りで、口造りは甑こそ低いですが、捻り返しが強く鋭いです。
釉色は飴色に近くすこぶる光沢があって美しいです。
そしてその中に肩先からむらむらと青みを帯びた白釉がかかって流れ下がり、裾のあたりで濃こしきくなっています。
この景は「福原茄子」によく類似しています。
胴には沈筋が鮮明にめぐり、釉際はかなり畳付近くまで及んでいます。
畳付はごく小さく、朱泥土が露われ、糸切も一部を除いて鮮明にみることができます。
『茶事秘録』にはこのほか「北野」「醍醐」「豊後」「京極」「紹鷗」「兵庫」などが茄子の代表としてあげられています。
他に『玩貨名物記』 『寛政重修諸家譜』『土屋子爵文書』などに記載があり、その由来がよくわかります。
【付属物】蓋―二、うち一枚は立佐作 仕覆―四、白極緞子・木綿間道・紹緞子・糸屋風通(図版右より) 挽家―黒塗
【伝来】十四屋宗悟―織田三五郎可休柳営御物 徳川綱吉 土屋相模守政直―五島家
【寸法】 高さ:7.4 胴径:76
【所蔵】五島美術館

宗悟茄子 そうごなすび

大名物。漢作茄子茶入。
紹鴎の師十四屋宗悟の所持した茶入で、茄子としては大形のほうに属し、形状優美・釉色鮮麗で古来有名な茶入であります。
宗悟ののち織田三五郎可休を経て徳川幕府の所有となったが、1694年(元禄七)土屋相模守政直がこれを拝領し以来土屋家に伝来。
(『大正名器鑑』)

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