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蒲生氏郷 茶杓 共筒

石州箱

略伝
近江国蒲生郡日野城主蒲生賢秀の子、幼名鶴千代。信長に見こまれ茶は利休に学ぶ。関東奥羽平定後、会津九十二万石に封ぜられた。
文禄四年(1595)二月七日病没、40歳であった。利休門下七哲の一人で、利休刑死後、その子少庵をかくまってその恩義に酬いた。

茶杓.
一言にして豪放である。漆黒の光沢ある竹を漆拭し、櫂先はあたかも遠州の「有馬山」に先駆する見事な折り撓め、腰高く、節下から前へ雄渾な彎曲線をえがき、節から下は、そぎ目になっている。


ごま入りの太筒で、皮を中央部にのこした草削り、中央武張った錘形、大きく面取して、氏郷筆「メ氏郷」とある。

付属物
内箱 桐 白木 題箋 別材はめ込 書付 片桐石州筆「茶杓 氏郷作」
中箱 桐 掻合塗 朱漆書付
「蒲生氏郷作 片桐石州所持箱書付同筆 同茶会記添」
外箱 いわゆる大名箱で篷庵、柳瀬山荘の貼紙 極札 古筆了伴筆

追記
蒲生氏郷茶杓といえば、これ一枚に止めをさすごとく高名な茶杓である。自身が重みあって、石州箱の数奇を凝らせるなど、茶杓最高峰たること動かしがたい。もと名古屋の高橋篷庵の愛蔵にかかり、松永耳庵が破格の値で入手してよりいっそう世間に喧伝されだした。

所載
茶杓三百選

寸法
茶杓
長サ17.7cm
幅0.6―1.1cm
厚サ0.4cm

長サ20.1cm
幅2.2cm

所蔵者
東京国立博物館

片桐石州茶会記
口切
十月朔日之晚
天室和尚
滝本坊
啓首座
元立
星野宗以

釜あられ釜
床大灯之文。
下ノたな二八重垣之茶入、どんすの袋二入
つぎにうさぎの香箱
すみ取ふくべ、はいほうろく巳下もち出ル
水つぎひだかた口本巾
根打出ス

床ニしがらきノ花入、うすいた二置、花ハ
山茶花 冬さきノぼたん。
水さししがらきやき、茶入おろして
水さしのわきニをく。
ひしやく下たな二置。
茶たて候時、うちわりのくろちゃわん、
しこみて
持出る。茶杓氏郷。
水こぼしひだめんつう引切。
茶巳後、引切ひしやく上たなヘ上ル。
後ノすミ所望、そことりつくらひ候也。
書院慈光院道号掛テ

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