日本の「茶道」は、その創始期には外来の器物を使用するところから始まりました。
中国の天目と青磁の類でした。
書院の広間には、それは堂々としてふさわしかったにちがいありません。
やがて草庵の小間で、佗び茶が始められますと、きらきらと美しいものは遠ざけられて、同じ天目でも灰被天目、青磁では珠光青磁と呼ばれる、くすんだ色のものがとり上げられたのでした。
珠光時代の青磁ですから、この名が付きました。
珠光青磁は当時の南中国の日常雑器でしたが、そこに「ひえ枯れた」趣を見出し、それはやがて高麗茶碗愛好の道へとつながっていくのです。
《寸法》高さ6.7 口径16.4~17.0
《所蔵》奈良・称名寺