かけられた黄釉は高台際まであり、一部はなだれて高台の中まで入り込んでいます。伯庵としてはやや背の低い、小ぢんまりした形姿ですが、腰の海鼠釉は茶碗の半分以上に及ぶ長さで、ことに珍しいです。高台はやや薄造り、高台内に二重の輪筋があります。内部は総体に黄釉むらなく、見込に鼠色の変色した部分があります。茶溜りは轆轤が浅くめぐり、中央に小さな突起があります。小振りな伯庵として、異色の茶碗といえましょう。《付属物》内箱-桐面取、書付曽谷伯庵筆 外箱-溜塗面取《伝来》姫路酒井家《寸法》高さ7.2~8.2 口径14.6 高台径5.7 同高さ0.8 重さ385《所蔵》根津美術館