高麗青磁雲鶴手筒茶碗。一口に高麗茶碗といっても、その99パーセントは李朝時代の作品で、わずかにこの青磁の雲鶴手筒形のもののみが、高麗時代の作品です。高麗時代、朝鮮半島のやきものを代表するのは青磁の類で、その幽幻な美しさは、今日も鑑賞陶の世界で珍重されています。その青磁作品のうちから、茶の器格にはまるもの、茶碗になり得るものを茶人がとり上げたのでした。青磁に付けられた象嵌の文様に雲と鶴があるところから雲鶴手と呼ばれ、この文様のないものをもそう呼び習わしています。丸文のものは狂言袴の文様に似るところから雲鶴手狂言袴と呼んでいます。《寸法》高さ10.4 口径9.3~9.8《所蔵》滴翠美術館