高さ17.1cm 口径10.1cm 底径9.4cm
藤田美術館
あたかも種壺のような壺形の水指で、やや厚手に作られています。
叩き作りであるから底は板起しになり、下に黒飴釉をかけ、口から肩にかけて白濁色の藁灰釉を厚くかけていますが、黒い釉地に滝のようになだれた白釉の景色がみごとです。 「廬瀑」と称されて茶人の間に声価が高いのも、素朴な器形のなかに釉景色が鮮やかに生きているからでしょう。 藤の川内窯か高取の内ヶ磯窯か判然としません。
朝鮮唐津 水指 銘 櫓瀑
十七世紀初期 藤の川内窯
高14.2 径18.8
北村美術館蔵
叩きづくりによる成形。 寸胴型で、頸の部分の数本の轆轤目によって形が引き締まってみえます。肩より下に厚く薬灰釉をかけ、内側と口縁部に黒飴釉をかけています。 表面に大小二本、裏面に一本薬灰釉をかけて文様をつくり、飴釉が薬灰釉の中に流れ込んで美しい景色をつくっています。腰から高台全体にかけて泥釉を刷毛で塗っています。 内側は燃料の松灰によって、美しく窯変しています。
櫓瀑 ろばく
水指・叩き朝鮮唐津水指銘「櫓瀑」(ろばく)
十七世紀初期藤の川内窯
高:17.4㎝口径:10.1㎝
藤田美術館蔵
「櫓瀑」の銘の以来
蓋裏に了々斎宗左が李白観瀑の詩を書いていることによる
朝鮮唐津の藁白釉の流れを中国の名山、魯山の瀑布(滝)を詠う唐の李白の詩を連想しての銘
李白観瀑
望廬山瀑布
廬山の瀑布を望む
日照香爐生紫煙
遥看瀑布挂長川
飛流直下三千尺
疑是銀河落九天
日は香爐を照らして紫煙を生ず
遥かに看る瀑布の長川を挂くるを
飛流直下□三千尺
疑うらくは是れ銀河の九天より落つるかと
廬瀑 ろばく
朝鮮唐津一重ロ水指。
千家名物。
「廬瀑」の銘は、蓋裏に了々斎宗左が李白の観瀑の詩を書いていることによる。
まことに豪快な白釉の大なだれ。
黒釉の中に点々と無数の星辰を望み、まさに銀河の中天に落ちるかと疑われるばかりの景色です。
朝鮮唐津の水指としては壺形のものが多いですが、そのうちでもこれは特にずばぬけた優作です。
この種の古唐津は帰化朝鮮陶工によって始まり、藤の川内窯を最上とし、次いで帆柱・皿屋窯に優やつしろ しょうだい作があります。
なお高取・八代・小代の諸窯でも焼いています。
時代は慶長から元和頃の製。
【付属物】 内箱―桐白木、蓋裏書付了々斎宗左筆
【寸法】 高さ:17.1 口径:9.8~10.3 底径:9.5 重さ:890