叩き朝鮮唐津一重口水指
十七世紀初期 藤の川内窯
高14.2 径18.8
北村美術館蔵
叩きづくりによる成形。 寸胴型で、頸の部分の数本の轆轤目によって形が引き締まってみえます。肩より下に厚く薬灰釉をかけ、内側と口縁部に黒飴釉をかけています。 表面に大小二本、裏面に一本薬灰釉をかけて文様をつくり、飴釉が薬灰釉の中に流れ込んで美しい景色をつくっています。腰から高台全体にかけて泥釉を刷毛で塗っています。 内側は燃料の松灰によって、美しく窯変しています。
十七世紀初期 甕屋の谷窯
高19.6 径18.5
鉄分の多いねっとりした土で、叩きづくり。 内側にかすかに青海波文があります。口は矢筈づくりで、大きな耳が縦につき、底に小さな足が三個ついています。胴一面に筋文様を陰刻しています。全体に黒飴釉をかけ、正面に鉄砂をかけて景色としています。底面に逆L字のローマ字が陽刻文でついています。共蓋は鍵のあるL字が陰刻してあります。甕屋の谷、焼山両窯からL字のいろいろな銘入の作品が出土します。
慶長八年「織部茶会記」に、慶長八年「唐津足有御水指」「唐津焼すじ水指」として登場しています。唐津市重要文化財。
朝鮮唐津 水指
高さ14.0cm 口径18.3cm 底径15.4cm
朝鮮唐津一重口水指と称して、茶人の間では声価の高い作品である。たしかに、唐津焼の茶陶のなかでは最も茶にかなった漏洒なものの一つである。紐作りでずんどう形に立ち上がらせ、口は僅かに内に抱え込ませている。底は平らで板起しになり、手取りは軽い。上に黒飴私下半部に藁灰釉をかけ分け、さらに前後に口縁から白釉を一条ずつかけて景色を高めている。内部全面にも薄く鉄釉をかけ、内側や見込中央にも白釉をかけている。他に類例を五つ見ているが、なかには内部に青海波状の叩跡が残っているものがある。
朝鮮唐津水指
高さ14.0㎝
口径18.3㎝
底径15.4㎝
上下に藁灰の白釉と飴釉をかけ分けにしました。
鬼桶形の朝鮮唐津水指は、その率直簡明な姿と、肩と裾の二色の釉の対照の妙とがあいまって、世に高い声価を得ています。
これはそのなかでも白眉と目されるものの一つで、かけ分けの地釉とは別に、二筋たらした淡い藁灰釉の流れの面自さが加わる。
藤の川内窯の叩きによる作であります。
このような二色の釉の対比という意匠は、いったいどこから出てきたのでしょう。
そう考えるとき、光悦作の楽茶碗「不二山」の姿がいつも連想されるのですが、この符合は偶然なのだろうか。