十七世紀初期 甕屋の谷窯
高19.6 径18.5
鉄分の多いねっとりした土で、叩きづくり。 内側にかすかに青海波文があります。口は矢筈づくりで、大きな耳が縦につき、底に小さな足が三個ついています。胴一面に筋文様を陰刻しています。全体に黒飴釉をかけ、正面に鉄砂をかけて景色としています。底面に逆L字のローマ字が陽刻文でついています。共蓋は鍵のあるL字が陰刻してあります。甕屋の谷、焼山両窯からL字のいろいろな銘入の作品が出土します。
慶長八年「織部茶会記」に、慶長八年「唐津足有御水指」「唐津焼すじ水指」として登場しています。唐津市重要文化財。
福の神 ふくのかみ
叩き黒唐津三足水指。耳付。叩き上げ造りで轆轤調製。この手には必ず内部に叩き目が残っています。
胴締めぎみ、口は矢筈で、少し焼け垂れの前かがみ、底に小さな三足を付けます。胴体上部に太く下部に細い横箆、腰箆二線、首部にも強い箆筋をめぐらしています。
ねっとりとした素土に唐津特有の黒飴釉をかけ、釉色強く一部に濃淡あって景色をなしています。
この水指のよさは、何よりも素朴な箆線の強さにあります。
底面と蓋裏にL字状の刻文がみえます。
「福の神」の銘はその面相に愛嬌があるからでしょうか。甕屋の谷窯の製。姿からも織部の好みが想像されます。
《寸法》高さ20.3 胴径(耳含)21.9 蓋径12.5 底径18.7
唐津耳付四方水指
高さ19.1cm 口径12.7cm 胴径21.9cm 底径17.0cm
叩き作りの胴を四方にとり、へこみをつけた作為の強い水指です。 外部の全面に横筋を線刻し、 縦の目もつけ、 底と内部を除いてずっぽりと黒飴釉をかけています。 底に型抜きのLの印がつけられていますので、甕屋の谷窯の作であることは確かで、蓋にも裏面にLの印がつけられています。