明代。
名物裂。
紫地のものが印金の中で最も珍 重さ:れるのは、その気品ある色調と箔の金色のコントラストにより、見事な美的表現をなしているからであろう。
元来、羅は薄物と称せられ、軽やかな織物であるにもかかわらず重厚な趣をもって目に映るのは、その時代的経過だけではなく、表具裂としてみる場合に必ず色染紙で肌裏を打っているから、羅本来の薄い透けた風合いを察知しがたいためである。
印金のほとんどは明代以後の渡来品であり、もっぱら表具裂として使用され、特に墨蹟・古筆類にふさわしつくりつち名物裂中の白眉といえる。
作土紋は畠のうねの形に似た姿に意匠化されどはているところからの呼称で、牡丹花紋と土坡を納めている。