玉澗筆模本。
京都広隆寺旧蔵の玉潤筆「廬山図」横物大幅を、佐久間将監が茶室用に三幅に切断した際の二幅(617~頁上・六三二頁上)の、当初の姿を示す模本で、その資料価値は大きい。
玉潤による自賛「過溪一笑意何疎千載風流入画図 回首社賢無査処 炉峯香冷水雲孤玉潤」も書体どおりに写している。
本図によると玉潤筆の原本は、飛瀑のかかる中景の主山が中心で、自賛に接している山容は近景であり、将監の切断はかなり思いきったものといわざるをえないが、詩画一致および瀑布のもつ精神性尊重という当時の理念から理解すべきであろう。
【寸法】全体―縦155.4 横117.6 画面 縦49.4 横114.7
【所蔵】 根津美術館