伝西行筆。
『右大臣家百首』断簡(手鑑 『碧玉』)。
百首歌は右大臣藤原兼実(1149~1207)が治承二年(1178)三月二十日から六月二十九日までに、藤原実定・季経・源頼政などに二十題各五首を詠ましめたもので、国宝手鑑『見ぬ世の友』の俊恵法師の五首は「針屋切」の名がある。
一題五首ずつに書写された切が多いため「五首切」の名もあり、三首のは「三首切」という。
この切は行間は狭く、怱卒に速い筆で書かれ、運筆は流暢覇気があふれ、張りのある筆意が平安末期の脆弱な書風に堕することを防いでいる。
西行筆と伝えるが真筆とは認められず、平安朝最末期の書写である。
【伝来】古筆家
【寸法】本紙縦12.5 横26.5