絵高麗梅鉢茶碗 えごうらいうめばちちゃわん

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鶴田 純久の章 お話

付属物
内箱 書付 桑山可斎筆
寸法
高さ:5.2~5.4cm 口径:15.6~15.8cm 高台径:6.8cm 同高さ:0.5cm 重さ;295g
所蔵者 大阪藤田美術館

 絵高麗という言葉から、これを高麗すなわち朝鮮の茶碗と思いこんでいる人が多いですが、元・明のころ、中国北部の磁州窯という窯で造られた茶碗なのです。
日本人は詮索ぎらいで無頓着なため、往々こういう過ちをおかしています。
 磁州窯の土は、焼き上がると灰色か淡い茶色に発色します。そのため、そのままでは上の釉色が映えませんので、必ず下地をまず化粧してかかります。この茶碗でも、外側の下部と内側の白く見えているところは、素地の上に白泥を化粧がけにしているのです。その上に無色透明のガラス釉をかければ、美しい白に仕上がることになります。こうした白化粧地に黒で梅鉢文をつけて焼けば、いわゆる「ひなた」の梅鉢茶碗が生まれるわけですが、ここでは更に黒泥を引いて、その上に白で梅鉢を散らしています。黒泥地は釉を透かして鼠志野のそれのようになり、白・鼠・白・黒といった色の調和が、甚だ明るくて妙です。「かげ」の梅鉢茶碗としては、最高の作でしょう。

絵高麗梅鉢茶碗 えごうらいうめばちちゃわん

中国の磁州窯で焼かれた茶碗です。平茶碗形で、高台は高くはないがきわめて大きいです。磁州窯の土は焼き上がると灰色か淡い茶色を呈し、淡色の釉では色が映えないので、素地の上に白泥を化粧がけにします。さらに黒泥をかけ、その上に白泥で梅鉢と呼ばれる花文を散らし、無色透明のガラス釉で覆ったのがこの茶碗です。白泥の上に黒泥で梅鉢文を付けたのを「ひなた」と呼び、この茶碗のようなものを「かげ」といいます。各色の調和がとれ、「かげ」の梅鉢茶碗として代表作の一つです。《付属物》内箱-書付桑山可斎筆《寸法》高さ5.2~5.4 口径15.6~15.8高台径6.8 同高さ0.5 重さ295《所蔵》藤田美術館

絵高麗梅鉢茶碗 えごうらいうめばちちゃわん

「かげ」の手である。
「かげ」の手の茶碗は、必ず口縁の内外にI、二本の黒線をめぐらし、くくりとする。
この茶碗では高台周りの土見の色が淡黄褐色なので、各色の対比が柔らかく、全体におだやかな趣をもつ。
また無色透明の上釉が高台脇あたりまでかかり、上段の鼠色と下段の白の帯がほどよい均衡を保っている。
黒泥が口縁よりやや下がって刷かれたため、口縁にくっきりと白の線が残り、白覆輪天目のような風情を呈する。
いかにも涼しげな茶碗で、風炉の季節にふさわしいものとして珍重されている。
【伝来】小西家
【寸法】高さ5.4 口径16.0 高台径6.1 同高さ0.4 重さ295

絵高麗梅鉢茶碗 えごうらいうめばちちゃわん

「かげ」の手の茶碗である。
中国磁州窯で民間雑器としてつくられたもので、何段にも重ねて窯に大れる必要から、碗底を大きく蛇の目に削って釉を剥ぎ、そこへ上の茶碗の高台を載せた。
必要から生まれたこの蛇の目も、日本の茶人には景色と映り、これが絵高麗茶碗の約束の一つである。
高台際の白帯の裾に紫色がかった三日月形は、白化粧が切れた上に上釉がかかったためで、三日月の下側の地上の淡い色の縞は、白化粧地に上釉がのらないところである。
【付属物】箱-桑、彫銘緑青 被覆-紬地縦縞間道 包地-赤地更紗
【寸法】高さ4.9 口径16.3 高台径6.3 同高さ0.5 重さ131
【所蔵】根津美術館

絵高麗梅鉢茶碗 えごうらいうめばちちゃわん

高麗茶碗というのは、茶道に使われた李朝時代の朝鮮半島製の茶碗をさすことばだが、今日の陶磁学の研究によって、その中でこの絵高麗梅鉢だけは、中国のやきものであることが判明している。
しかし古来のいい習わしどおり、絵高麗梅鉢と呼んでいる。
明代末期、中国の磁州窯製の雑器であったものを、梅花文様に風流を見出し、形姿の軽妙なところを茶情ありとみて、日本茶入がとり上げたのである。
釉を二重にかけたもの、三重にかけたもの、白色の肌のもの、青色の肌のものなどがある。
【付属物】箱-桐白木、蓋隅面取
【寸法】高さ4.7 口径16.0 高台径6.4 同高さ0.5 重さ290
【所蔵】根津美術館

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