高さ9.0cm 口径12.7cm 高台径4.8cm
田中丸コレクション
見込みが深く、小振りに引き締まった茶碗で、口は端反りに、 腰はやや強く張り、 高台は小さく素直に削り出されています。 高台内の削り込みが深く、底まわりの土取りは比較的厚いです。 胴の二方に木賊のような文様を描き、 高台から腰まわりまでを除いて全面に土灰の混じった長石釉をずっぽりとかけていますが、 釉なだれが二、三条腰に流れているのが巧まざる景となっています。 木賊の筆行きは、いかにも気楽に運ばれながら雅趣があり、 茶碗の姿にみごとに収まっています。釉膚もやわらかく焼き上がり、 茶味の深い茶碗です。甕屋の谷窯の作と推測されます。
絵唐津 木賊文 茶碗
高さ9.0㎝
口径12.7㎝
高台径4.8㎝
田中丸コレクショソ
絵唐津の名碗としてつとに名高い作品であります。
浅く開いた形の多い唐津の茶碗のなかでは、背の高い見込の深い茶碗で、すんなりした形には気品さえ感じられます。
少し外へ開いたロ縁の下が一段浅くさらえられているのも、この形をよく引き締めているようです。
胴の両面に木賊の絵が付けられていますが、図のまとまりもよく、絵の量もほどよい。
長石を含んだ灰釉が絵の調子を柔らげ、裾のあたりに画白い流れ跡を見せる。
甕屋の谷窯の早い時期の作例であるでしょう。
絵唐津草文茶碗
十七世紀初期 甕屋の谷窯
高9.1 径12.5
田中丸コレクション蔵
胎土は砂気の多い白土。熊川なりの端反りの姿で、もし絵がなかったら奥高麗茶碗といったでしょう。 直立高台で、高台内に兜巾が出ています。高台内外の縮緬皺が美しいです。 表裏に鉄砂で草文を描いています。これを茶人は木賊に見立てています。絵唐津皿の縁文様によく描かれているもので、 李朝絵刷毛目や三島象嵌の草文様の系統のものと思います。長石釉が腰までかかり、三本ほど高台ぎわまで流下して文様をつくっています。裏面絵の部分に施釉の際の指跡が二本くっきりとつき、景色をつくっています。甕屋の谷窯から同じ茶碗の陶片が出土しました。
絵唐津木賊文茶碗 えがらつとくさもんちゃわん
絵唐津茶碗のほとんどは、雑器生まれの小振りのものが多いですが、この茶碗は抹茶茶碗としてつくられたようで、高麗茶碗の熊川を思わせる端反りの深々とした形姿は、堂々たる貫禄を示しています。表裏にある十数条の線文は木賊に見立てられていますが、平向付の縁などにもよくみられ、一種の抽象化された草文であろう。やや長石をまぜた灰釉が腰までかけられ、飛び出た二条の釉が面白い景色となっています。何ら飾り気のない素朴な茶碗ですが、その中に無限の味わいがあり、鉄絵がなければ奥高麗ともみえる風格をもっています。十七世紀の初頭、甕屋の谷窯の作品です。《寸法》高さ8.9 口径コ1.4~12.6《所蔵》田中丸コレクション