侘び茶杓として喜ばれる空中作。逆樋の腰蓑のそげが節下三分の二に及び、残った皮に「空中八十歳」と針彫りがある。筒は総削りの真筒に「からのふてのちく(唐の筆の軸)」の書付は空中自筆で薄墨である。口栓のは薄く、時代の好みを示している。空中は本阿弥光悦の孫、名は光甫。陶技は祖父に継ぎ彫技・画技に達せるが、作品は少ない。陶技では空中信楽など優品が多い。茶杓の針彫りは茶人に貴ばれている。天和二年七月没、八十二歳。【付属品】箱―桐二の字桟蓋書付【寸法】茶杓―長さ17.6 幅0.6~1.0 筒―長さ20.4【所蔵】 陽明文庫