明代。
名物裂。
細川紹幸(紹高のことか 1595)は阿波守護家の家系で元定・全隆父子はともに紹高を称し、信長・秀吉に仕え、「紹高肩衝茶入」を所持した武家茶人である。
この裂は特に紹幸裂とも呼ばれ、正法寺緞子の系統に属し、定家緞子などに先行するもの。
地色は定家緞子より渋い縹色を糯子地に織り、上紋は黄色の緯糸で同じ二重蔓唐草に菊と捻梅風花紋を散らしている。
紋様は整然と配置され織技もすぐれ、明代末期の織製であろう。
他に細川緞子と称するものに浅葱地に綾杉折入菱の地紋内に卍があり、木瓜を散らし雨龍を配した裂と、雷紋繋ぎを地紋とし、菱で枠をとった中に雨龍を織り出した裂もある。
【所蔵】東京国立博物館