伝夏珪筆。
重文。
夏珪は馬遠とともに南宋院体山水画を代表する画家とし有名である。
日本に現存する夏珪筆と伝えられている作品で、真筆とし指摘しうる確実な作品はない。
夏珪画の特徴は、構図はいわゆる「辺角の景」であり、北宋画のもつ広大な自然観望の代わりに、自然の一角に息づく細やかな情感を捉えることにあった。
それは速度のある蒼潤な筆致の中に展開したのである。
夏珪は字を禹玉、南宋画院の待詔として金帯を賜唐なきあとの院体山水画の第一人者となった。
「雑華室印」と「夏」の款がある。
【伝来】 川崎家
【寸法】全体―縦173.0 横47.5 画面縦87.5 横35.3
【所蔵】根津美術館