梁楷筆。重文。酒好きの詩人李太白が、ほろ酔いにそぞろ歩きする姿を画はすばいたもので、梁楷得意の減筆体によって表現している。前面の衣文線は外ぐまによって引かれ、袋状の身体が月光に照らされた詩仙の姿を浮き出させている。梁は南宋寧宗の嘉泰年間(1202~4)に画院の待詔として、画家最高の栄誉である金帯を賜わっているが、その資質は文人的であった。図上の大印は、元の宮廷で使われた八思巴文字で、元朝所蔵の伝来を示している。もと「東方朔図」と対幅であった。【付属物】内箱―蓋裏極札狩野経信筆【伝来】松平不昧【寸法】全体 縦164.0 横42.2 画面 縦81.0 横30.4【所蔵】東京国立博物館