赤みを帯びた茶地を糯子地に織り、大牡丹の花紋を間隔をつめて並べ、周囲に葉紋を添えて余白を埋め尽くしている。
渋いさびた銀糸は赤みの強い地色を押え、むっくりとした艶のある糯子地に厚みを加えている。
蔓唐草はみられず花紋のみで構成され、銀襴独特の風格を示している。
紋様の牡丹花紋は明代末期頃の煩雑な花弁形式からなり、葉紋も唐草紋金欄にみる冴えた洗練さは失われて、織技からくるくずれが現われている。
茶地の銀欄は墨色を引き立てるのに効果的で、墨蹟や水墨画の表具にふさわしい裂地である。
また紋様が大きく大字のものや、逆に古筆のような線の細い本紙には向いていない。