徽宗皇帝筆。
重文。
清楚な水仙と、画面を横切る土坡を示す一本の線が、鶉の前面にひろがる無限の空間を効果的に表わしている。
この余白のとり方は絶妙で、のどかな春日の一瞬を想わせ、自然の一隅の中に存在する生あるものへの愛情が細やかに表現されている。
対象の輪郭を細線でくまどる鉤勒塡彩の手法と、没骨描を併用した巧緻な院体画風を示している。
右方に「政和」と読める一印と、左方の余白に瓢形の大印があるが、印文は不明である。
徽宗筆の確証はないが気品にあふれた画境である。
【付属物】内箱—書付狩野惟信筆 蓋裏極札―二、狩野探幽・狩野安信筆
【寸法】全体縦108.0 横53.5 画面 縦27.0 横41.8