後鳥羽院筆。
国宝。
熊野行幸二首和歌。
後鳥羽院(1180~1239)が熊野行幸の道すがら王子社で催された法楽の御歌会の懐紙。
院は建久九年(1198)19歳で譲位されたが、その後、熊野行幸は隠岐遷幸の承久三年まで続けられ、その間二十四年に二十八度の行幸があった。
「熊野懐紙」はすべて当座の懐紙で忽卒に書かれ、院の御題により供奉の人々が詠進し二首懐紙である。
このときの詠進に通親・雅経の懐紙が遺存し、藤代王子社における正治二年(1200)のものであろう。
後鳥羽院の宸翰懐紙は「熊野懐紙」五葉と「花有歓色」の類懐紙一葉がある。
【伝来】前田家
【寸法】全体―縦106.0 横59.5 本紙縦31.5 横48.2