元代。
名物裂。
作土金襴の最も古い裂に大鶏頭金欄がある。
作土とは草花(動物)紋に、その根付いた土壌までを単一紋様として配したものである。
草花紋の大小により大鶏頭・中鶏頭などと呼ぶ。
地色は紅が退色したらしく、鳶色を帯びてしっくりと落ち着いた、もの静かな極古渡りの名物裂である。
金糸は全越、地絡みで紋様を織り出しているが、中国東部では珍しく、むしろペルシア・ムガール方面でしばしばみることのできる紋様で、元代中国に入り作土紋に発展する初期の紋様形式であろう。
大名物「円乗「坊肩衝茶入」・中興名物「在中庵肩衝茶入」同「橋立茶入」(本歌)などの仕覆裂として使用されている。
【所蔵】東京国立博物館