本阿弥光悦筆。
『古今集』巻一(手鑑 『碧玉』)。
光悦(1558~1637)は自得斎・徳有斎・大虚庵などと号し、家業の刀剣の磨礪・浄拭・目利の三事を嗣いだが、元和元年家康より洛北鷹ヶ峰の土地を拝領しここに引きった。
書は青蓮院尊朝法親王に学んだと伝えるが、独自の書風を完成角倉素庵児島宗真らも光悦流を能くした代表的人物である。
晩年の寛永期に入ると筆鋒の割れた枯淡な書風に腕の震えが加わるが、壮年の書にはいまだ桃山時代の様式が残り、おおらかで豊潤な運筆をみせている。
歌は『古今集』巻一春歌上からとられ「読人しらず」であるが、この色紙では伊勢とある。
【伝来】古筆家
【寸法】本紙縦19.8 横17.4