宗達筆、鳳林承章賛。
鳳林承章(1592~1668)の著賛をもつ宗達の水墨画の佳品である。
宗達は江戸初期の画家で、光悦や光琳に比べて経歴に不明な点があるが、琳派の始祖光悦の筆による一連の「和歌巻」の金銀泥下絵を制作したものと考えられている。
水墨画については、濃淡・乾湿・墨気・彩色との併用と万能で、特に「たらしこみ」の技法を駆使して本図のごとき独特の個性的な画境を出現させたのである。
伝記不詳の宗達にあって、『隔蓂記』の著者による著賛をもつ本図の存在は、宗達の周辺、あるいは環境を知るうえにも貴重である。
【寸法】画面縦93.4 横39.8
【所蔵】 正木美術館